「昔の仲間,東京に集合… なぜ?」
5月号で予告しましたように,今月から下記のメンバーで,コンピュータを巡る話題
を提供する連載を始めます。
コンピュータ時代と言われる現代にあって,コンピュータを使うことそのものが目的
のような論調も見受けられますが,私たちは,あくまでもコンピュータの向こう側,つ
まり,コンピュータを使う人,との対話を忘れないでいたいと思っています。
元 全事研 学校事務電算化検討委員グループ
内田 進 春日部市立小渕小学校
木村 信哉 神戸市立福住小学校
惣元 博和 富山県立高岡養護学校
丹治 益栄 武蔵野市立第五小学校
野村 欣司 刈谷市立雁が音中学校
二見 恵美子 上越市立直江津東中学校
本川 則裕 杉並区立方南小学校
山田 勉 頸城町立頚城中学校
渡辺 斉己 延岡市立南方小学校(欠席)
【はじめに】
労様でした。先ほど出席いただいた全事研評議委員会での報告をもって,この事業
は正式に終了いたしました。責任者として,厚くお礼申し上げます。
木村 丹治さんは,全事研の研究部長という立場でチームを率いられたんですよね。
丹治 文部省から「学校事務の電算化の研究委託」ということで話があり,当時研究部
長だった私が担当になりました。通常の事業とは違っていること、全国各地の事務
職員の共同研究,その最初の実験ということから各県に呼びかけたものです。平成
3年当時から既に職場でインターネットを使っていた市川さん(電算化検討委の専
門委員の一人)の勧めもあり,委員の連絡用にパソコン通信に入ってもらいました。
木村 最初の会合は,平成3年の12月8日でしたよね。文部省の担当係長も出席され
て。
本川 あのときは驚きましたよねえ。何しろ,全国の事務職員が使用できるような成果
を,特定の機種・ソフトに依存しないで作れないか,と言うものでしたからね。
内田 その点は絶対に譲らない雰囲気がありましたよね。結局初年度は,全国のコンピ
ュータ保有状況や,活用実体の調査など,この部分の説得に費やした気がする。
丹治 学校現場に追加費用の負担を求めないこと,全国でそのまま使用出来ることを条
件に加えられたので,その様なソフト開発を巡って疑問が集中しました。あの時,
野村さん担当の愛知県下の膨大な調査報告は,実に大きな説得力となりました。
内田 実質的には,2年目の平成4年度に当時順次改訂しつつあった「理振台帳」を対
象にすることで固まったと思います。
丹治 原著作権者が国なので,問題は無いし。
本川 結局,表計算ソフトLotus1-2-3と決めました。実質的な開発ソフトの配布とと
もに,開発手法(マクロ)の研究も可能であるように,という狙いがあったので。
野村 渡辺さんは,表計算ソフトじゃ中途半端,データベースソフト,例えば「桐」で
開発して,本台帳とのリンクなどの応用が可能になるようにしたいと随分主張した。
丹治 開発の主旨からは正論でしょう。あの時,宮崎県で実際に使っているシステムの
紹介もありましたが,完成度は高かったですよね。あれは,C言語による開発でし
たね。
木村 当初は,私たち事務職員委員は専門委員から技術的なアドバイスを受けつつ,業
者に発注できるような仕様書を作成する,というのが役割でした。時間的にも資金
的にもそれでは無理,ということになって,専門委員・事務職員委員が一体となっ
て作らざるを得なくなり,何とか完成の目途がたったのが平成4年の12月頃です
か。
丹治 平成5年2月4日〜5日の第3回の委員会で,最終的日程が確認されています。
つまり,文部省報告を3月30日に設定して,それまでに全力で仕上げる,という
確認です。
本川 同時に出来るだけ多くの事務職員にパソコンに触れてもらいたい,その為に販売
計画も話し合いましたよね。
内田 文部省委託研究ですから,成果は国の財産となります。そのため,実費による頒
布しか許可されません。「全事研広報」と「学校事務」誌で宣伝は行いました。刷
り上がりは時間ぎりぎりで,やきもきしたものです。
木村 申込窓口を担当しましたが,北海道から沖縄まで広く関心を持ってもらえたと思
います。中でも愛知県が圧倒的に多いです。地教委からの問い合わせも数件あり,
また(財)理振協会からも問い合わせが来ました。地域によっては,文部省のお墨
付きだからと言って,従来の台帳に替えて利用するところもできたと聞いています。
二見 となると,常々本川さんが主張するようにアフターケアは非常に重要になります
ね。私たちも永遠に解散できないのかしら。
丹治 先ほども言いましたが「電算化検討委員会」の業務は終了しました。今後は,各
地での保守,改善の問題かと思います。
しかし,今日再会して思うことはやはり私たちは「仕事仲間だなー」という感じ
です。やはり何か一緒に仕事がしたい,その思いが強いですね。
【やり残した実験,時間切れで?】
山田 以前電子メールに入っていた学校事務誌の連載の件ですね。
丹治 ええ。奇しくも第1回の「電算化検討委員会」と同じ日付の昨年12月8日に
「電算化検討委員」に,情報化社会と言われる中での事務職員とコンピュータとの
関わりについての連載の打診がありました。
山田 「電算化検討委員」としての経験を生かして,ということなのでしょうか?
丹治 特にこだわらないとは思います。ただ,各地からメンバーが集まっているし,テ
ーマに関しても,"仕事慣れ"している意味からも勝手に適任と考えましたが。
本川 テーマが漠然とし過ぎているよ。具体的な課題について見解を問われるなら比較
的書きやすいかも知れないけれど。それにしても共同作業となると意見の調整をど
のように行うのかという問題が残るよ。
丹治 そうですね。そこで,私なりに解釈してですね,連載のテーマを「新情報時代と
学校事務」と置き直してみました。遠隔地での共同作業による連載という課題は,
これこそまさに私たちが「電算化検討委員会」でやり残したことと言えると思うの
です。当初予定していた「電子会議」をもう一度試すことのできるチャンスだと思
います。
木村 丹治さんは,この依頼を引き受ける条件は整っていると考えているようです。私
も反対はしませんが,私たちというグループを,どのように説明しましょうか。
丹治 「元全事研電算化検討委員」でいいんじゃないですか。その言葉自体何の意味も
持たないけれど,事実は事実ですから。
本川 「新情報時代」というからには,すでに「情報時代」が存在していた,というこ
とになるから,その説明から始めなければならない。そもそも,コンピュータと情
報とはどう関わるのかということから整理しないと。
野村 平成3年度の愛知県下の調査では,使用事例は多いけれど,パソコンの数だけ使
われ方があるという印象が強かった。
丹治 昨年12月の「都公小事」の研究大会での発表資料によると,現状はあまり変わ
っていないと思います。OSはMS−DOSが依然として主流で,各学校独自か地
域での研究会単位程度,いずれにしてもスタンド・アローン的な使用が多いと思う。
惣元 何を処理しているんでしょうかねえ。
山田 それこそ,さまざまじゃないですか。表計算ソフトなどが使えると,応用範囲は
広いでしょうから。
惣元 私は,コンピュータをいかに使うかという点,つまり操作方法・使用実例は,今
回は省略しても良いと思う。全国の事務職員に共通な様式(form)を探すのがいかに
大変なことかは,先の文部省の委託研究で十分にわかっているし。
野村 日常レベルでのコンピュータの使用については,非常に関心が高いけれど,実際
的な使用の面については地域差が大きい,というのが現状ですからね。
二見 でも,一方ではあふれんばかりのコンピューター情報に,むやみに焦りを感じて
いる事務職員も多いと思うけれど。
惣元 仕事への活用じゃなく,店頭で触れた・雑誌の記事に出ていた,位のレベルでね。
丹治 地域での使用例等を伝えることも重要なことでしょう。例えば,神戸市で開発し
ソフトが,他都市でも何かの役に立つかもしれない。そのままでは使えないにして
も。
惣元 コンピュータの使い方そのものではなくて,どんなソフトを使って,どういう開
発コンセプトであるか,という点ではね。
木村 コンピュータがなくても仕事は存在するわけだから,使い方じゃなく,仕事のど
こにどんな目的で利用するのかと言う点がね。
二見 では,コンピュータの使い方・使われ方の紹介はメインにしないとして,連載の
ポイントはどうします。(少し休憩したい…)丹治さんの考えた連載タイトル「新
情報時代」をもう少し詰めませんか。でも,今は夜中の2時,続きは翌日というこ
とにして。
【インターネットは,単なるブームか!】
丹治 さて,朝食はいかがでしたか。早速,昨晩の「新情報時代」の続きを始めましょ
う。
木村 今年の元旦の朝日新聞にこんな記事がありました。「パソコンは,ワープロ,表
計算など何かをする道具だった。それが,インターネットをきっかけに世界中の情
報が流れ出す巨大な蛇口となった」今までは特定の目的を達成するための道具とい
う印象が強かったけど,これからは,むしろその使い方は補助的だという気がする。
内田 インターネットですか。私自身に関して言えば,ようやくパソコン通信に「辿り
着いた」ばかりなのに,この上に!! という気がしますよ。
木村 今や,パソコン通信をやる前に,インターネットを経験できる。ハードもソフト
もオールインワンで,パソコンに始めから付いている。インターネット上でルーブ
ル美術館を見たり,ホワイトハウスを覗いたりは別名"お上りさんコース"とも言わ
れる位ですよ。「蛇口」なんですよ。栓をひねる感覚です。
丹治 コンピュータのブラックボックス化という従来からの問題と,インターネットや
パソコン通信につないだとたん,あふれ出る情報洪水への対処は別問題ですがね。
二見 それそれ。それこそ「情報時代」という言葉に「新」が付くキーじゃないかと思
う。洪水のような情報をうまくコントロールし,有益な情報とするという意味で。
木村 それとも少し違う。もともと"情報(というもの)"はいつの時代にもその時々で使
い切れないほど在ったと思う。その有り余る情報を有効なもの(情報の価値化)に選
択する作業は,もっと普遍的問題だよ。今は,リアルタイムの情報だってテレビを
ひねればたやすく受け取れる。むしろ,今の特徴は情報の「双方向性」だと思う。
丹治 個人からの情報発信の日常化,これが,「新情報時代」の解釈となりますか。
本川 その要素は大きいと思うけれど,この解釈自体を,今ここで決めつけないで,読
者と「双方向性」を試すような実験というか,企画をしてみる,ではどうだろうか。
【HPとMLと。貴方の参加が欲しい!】
木村 本川さんは,インターネットにホームページ(HPと略す。インターネット上の
私設図書室)を開いて,私的な情報発信を既にされていますよね。あれを元にでき
ませんか。
丹治 昨年後半のインターネットフィーバーは凄かったですね。でも大部分の事務職員
にとっては,パソコン通信も未知の世界かも知れない。企画として冒険ではないで
すか。
本川 今からコンピュータを始める人には,パソコン通信もインターネットも変わりは
ないよ。NIFTYもPC−VANもインターネット接続サービスをやっているか
ら,パソコン通信さえ始めれば,インターネット上のHPだって見られるよ。
木村 HPは,確かに非常に興味深い。ネットサーフィンと言うんだけれど,あるHP
にアクセスすると,そこからリンクをたどって,どこにでも行けてしまう。本川さ
んのHPにも,外国のリンクもありましたよね。
本川 ウン,HPは是非試したい。画像データが主だから,今までのコンピュータ感覚
との違いも実感して欲しい。でも,HPはどちらかというと情報を「取り出す」比
重が大きいと思う。「双方向性」という点では,もう一工夫必要ではないだろうか。
木村 インターネットのメーリングリスト(ML)はどうですか。これなら,参加者の
意見を全員で共有できる。誰かが,あれはどうなっているんだと,書き込めば,直
ちに参加者全員に「手紙」が届けられる。意見を出そうと思えば,誰でも自由に
「電子手紙」の形でできる。
丹治 良く判っていませんが,MLって何ですか?
本川 簡単に言えば,インターネット上で特定の話題について通信する同好会のような
ものです。すでにMLは無数にあります。ソフトのサポートから,先端技術,環境
問題,国際問題とか。MLに参加を表明すれば,どこの誰でもが意見を言えて,そ
の意見が参加しているメンバーにメールの形で直ちに配信されるという仕組みです。
インターネットだから,特定のパソコン通信の範囲に限定されないし。
丹治 ん? インターネット加入者じゃないと参加できないの?
本川 そんなことは全然ないよ。パソコン通信だけの加入者であっても,大手のパソコ
ン通信自体がインターネットの接続サービスをやっているから,MLに参加できる。
急速にパソコン通信とインターネットの垣根が低くなっている状況を感じるね。
木村 姫工大の清原先生が事務職員を対象にNIFTYのホームパーティーを主催され
ている。これは「鍵のかかった会議室」なんだけれど,今のところ,参加希望者に
は「鍵」を渡します,と清原先生は言われているから誰でも参加できる。(注)
ここで,それぞれの参加者が意見を展開したり,あるいは清原先生が提起された話
題について,意見交換を行ってます。
二見 事務職員にとっては,既にパソコンを利用したインターラクティブな情報=「双
方向性」は試行されているわけですよね。あえて,別な方法を試みる必要があるか
しら。
【誰でも参加できるML】
本川 必要性を問われると,一般的に「チャンネル(情報の出入口)は多い方が良い」と
しか言えないけれど。
丹治 そのホームパーティーは清原先生という強力なオピニオンリーダーの存在,とい
う安心感があるけれど,私たちの始めようとしているMLには技術実験と言う以外
「核」はない。この点をどう考える?
木村 参加者全員が「核」になればいい。意見や通信技術を持つ事務職員は多い。その
多くの人材が各地域に「孤立=孤高?」している状態,それがもう一つの問題なの
だから。
本川 ML,と言うよりインターネットの性格なんだけど,ある意味では「疑似社会」
だと言えます。私は,インターネットを通じて「擬似的学校事務社会」を作り,そ
の擬似的空間で現在の事務職員を語ろうと思う。
丹治 何が「擬似的」なのかもっと詳しく聞きたいですが,それはともかく。どういう
テーマのメーリングリストにしましょうか。単に多くの意見の紹介に終わってしま
う危惧は?
木村 テーマは決まっていますよ。「新情報時代と学校事務」ですよ。連載記事にML
で意見を反映しながら進められたらベスト。ひょっとしたら,連載そのものがML
に乗っられるかもしれない,という想像は愉快じゃないですか。
本川 意見の羅列の自己満足,という危惧は理解できるけれど,私たちは機会を提供す
るのに過ぎない。育つのも育てるのも参加者自身による。もちろん,MLという手
段の開始と終了は私たちの責任だけど。
木村 しかし,細部のツメは随分と必要でしょう。MLもある意味では組織だから,そ
の運用には一定のルール,つまり運営上の取り決めが必要になるでしょう。参加資
格,参加の方法とか,発言の取り扱いとか,です。社会人としてのネチケット(ネ
ット上でのエチケット)は無論ですけどね。
【まとめ】
丹治 わかりました。まとめます。
共同で学校事務誌にタイトル「新情報時代と学校事務」とした1年間連載をやっ
てみましょう。
連載を補完し,広く事務職員の情報交換の場の試行として,ホームページ(HP)
とメーリングリスト(ML)を4月から開始します。同時にMLの詳細・ルール等
については,学校事務誌5月号にCMを兼ねて載せます。残る細部については,
「電子メール」を使っての会議としましょう。
(文責 木村信哉)
注 参加希望者は,木村までご連絡ください。
勤務先fax 078-861-2424
e-mail audin@ari.bekkoame.or.jp
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