
「新情報時代と学校事務」(その6)
元全事研電算化検討委員会(今回担当:野村欣司) 刈谷市のインターネット構想
今月は、全国で同様の試みが始まっている、そのサンプルとして、最初に、インターネット導入事業を本年度予算に愛知県で初めて全中学校(6校)に入れることを含め予算計上した刈谷市のインターネット構想の概略について最初に、同市の事務職員である野村が事業計画を元に紹介します。 そして後半では、10月号に掲載した香川アクションを終え、運営も軌道に乗ってきたMLの現状を「貴方への招請状」と言う形式で紹介をします。
第1章 刈谷市のインターネット構想
「自然環境とやさしく調和した工業都市」を目指す刈谷市は、愛知県のほぼ中央に位置し、小学校15校、中学校6校の中規模校があります。そして現在、県下初めての「全中学校へのインターネット導入」が進行中です。
1.事業概要
刈谷市の策定した、『インターネット導入事業計画(案)』より抜粋して掲載します。1.1 事業費
6,046千円を計上。1.2 事業目的
世界中に張り巡らされており、文字・静止画・動画・音声等の情報が扱える世界最大のコンピュータネットワーク網であるインターネットに接続して、刈谷市の情報を発信するとともに、中学生等の利用する人が日本国内だけでなく姉妹都市(注:カナダのミササガ市)を始め世界の各都市や学校等と情報交換しながら高度な技術を習得したり、生きた英語の学習を行なうための環境を整備する事業である。1.3 事業概要
(1)設置機器
市役所(パソコン1台)
産業振興センター
(サーバー1台、パソコン1台)
市内中学校(6校分、各1台)
(2)導入時期
平成8年10月(予定)
(3)情報発信
産業振興センター内サーバー内に刈谷市のホームページを持ち、情報を発信する。
2.インターネット導入部会の設置
市はインターネット導入にあたって、平成8年4月事務局を市長公室に設置し、総務部を初め市役所内の各部より代表者を選出し「インターネット導入部会」を設置し、
(1)インターネット接続業者(ブロバイダー)の選定
(2)パソコン機器等納入業者の選定
(3)パソコン機器等設置場所の検討
(4)ホームページの作成
(5)ホームページの管理方法
について検討会がもたれ、サーバーを刈谷市産業振興センターに置き、ブロバイダーに刈谷市桜町にある「SYNネット」と契約することになりました。送・受信は、ISDN回線を各中学校に引き、64KBSで通信を行ないます。
中学校側では、現在、42台のコンピュータが設置されているコンピュータ室にISDN回路を引きます。尚、そのホストとして1台パソコンを設置すします。ルータとパソコンの間にHUBを接続し、そこから1本線を延ばし、職員室にも回線を引くことで、現在使用している、管理用パソコンでもインターネットができることとなります。また、産振センターのHUBから市役所へも回線をつなぐこととなります。
3.学校等での対応
事務職員の有志で、この導入をにらみ研修会を、インターネットカフェを使って行いました。
テレビ、展示会場でのデモなどで見る機会はあっても、いざ自分達がアクセスするとなると、そして直接にキーボード・マウスに触れ入力・クリックしてみると、さあ画面が変わり英語ばかりの世界へ、もう頭が皆パニックになりました。常置してある辞書を見たり、手当り次第クリックしたり・・・目的のページにたどりついたときは、汗びっしょりという状況でした。
実際のアクセス後、今後どうアクセスして、どういう情報を引き出すのか。どう利用するのか。学校事務にとっては・・・云々議論に花が咲きました。「情報空間の中に自ら飛び込むことで、変化の状況を肌で感じながら、施行し考えよう。とにかくチャレンジして見よう。」ということに話しの方向は進みました。
環境の整備が先行し、追いかけるようにその使い方を考えるという状況になってます。そこで、とにかくインターネット環境だけは始まった。ここから進められることにまず感謝して、学校も「新たな情報空間」へ・・・というのが事務職員レベルでの正直な現在の状況です。
第2章「インタラクティブな世界への招請状」
後半の「招請状」は、MLとホームページ管理人である、東京都杉並区立方南小学校事務職員の本川則裕が担当します。
前半で野村さんがレポートした刈谷市の新しい試み、こうした事業は大阪市でも展開されようとしています。また、既に実践されているCECの「100校プロジェクト」や1000校を目標にするNTTの「こねっと・プラン」もあります。このように、私たちの身の回りにおいても電子メイルの世界が身近なものになりつつあるといえます。
そこで、ここでは,
(1)私たちの連載の流れを整理し、
(2)現在MLでの話題を紹介し、
(3)このMLの価値をお認めいただき、
もって『招請状』としたいと目論んでみました。
私たちはこの連載当初からインタラクティブ、インタラクティブと何度も叫んできました。すなわち読者と私どもの間の関係に「双方向性」を持たせることを連載の重要な柱に据えてきたのです。
もうすこし柔らかくいえば、
「この情報化時代にあって,いい放しの連載は止めにしようよ!その実験を一緒にしようよ!」
ということです。
1.これまでの連載のさわり
私たちの呼びかけは、最初は「全事研の会報」に宣伝を出してもらったのが最初です。その後、学校事務誌に連載の予告ともいうべきページを5月号で割いていただき、6月号の連載開始と同時に電子メイルを利用したMLシステム及びインターネット上のホームページを始めました。
パソコン通信を使った回覧板システムである「ML」というのは具体的にどういうものなのかとか、「新情報時代」って何とかいう疑問は当然とは思いますが、重複を避ける意味からこれまでの連載をあたっていただけると幸いです。
さて、若干流れを整理しておくと、6・7月号では私たちの意識感覚を提示し、8月号では通信技術に触れ、更に9月号では実際に経験した仲間の体験談と走り出したMLの初期の話題を披露しました。10月号では、全事研の全国大会を開催地高松市からその模様をインターネット中継したことを報告させていただきました。
2.おしゃべりな仲間とその話題
最初にメンバーのプロフィール的な話題にふれ、次に話題の周辺をご紹介したいと思います。2.1 パソコン通信時代は終わりか?
MLのメンバーは9月11日現在44人です。このうち何らかの形でインターネット接続をしているまたは可能なメンバーは32人で、残り12人がパソコン通信(殆どニフティー)での参加者です。
この数字を見る限り、パソコン通信からインターネットへシフトしているのが分かります。ただ、これはあくまでもMLの参加者の中の話しで、まだまだパソコン通信人口が多いことにかわりはありません。何より、MLはパソコン通信で可能なのですから。2.2 使っているお手紙ソフトは?
インターネット上で電子メイルを送受したり整理したりする為の「お手紙」ソフトをメイラーと呼んでいます。
結構こいつは利口なヤツで、電子メイルは当然のこととして、写真などの画像ファイルや一太郎やロータス1−2−3のファイルなども、「ファイル添付」という手法でメイルと一緒に送れるのです。
ここではメンバーのITさんが整理してくれた16人のデータをもとにご使用状況を披露します。なお複数使用者があるのと、かっこ内はマック利用者のうち数です。
ネットスケープメイラー 8名(2)
Eudora−J 4名(4)
MSインターネットメイル 2名(0)
Becky! 2名(0)
あるめーる 2名(0)
その他 2名(0)2.3 職場
メンバーの職場の内訳ですが以下のようになっています。不明の方は、最近のメンバーで、まだ正確にプロフィールが分かっていない方たちです。その他のお二人は、特にコンピュータに造詣の深い強い方々で、MLの強い身方です。
小学校 22名
中学校 12名
高等学校 3名
養護学校 1名
教育委員会職員 1名
大学 1名
その他(民間企業) 2名
不明 2名2.4 怖い! O−157
最近の話題といえば、執筆の9月時点ではどうしても「O−157」になってしまいます。
ホームページにも特設ページを急遽設けました(http://www.a-web.co.jp/~jun/o-157.html)。
どこの学校でもそうでしょうが、夏季休業中から2学期始業式にかけてその対策で、結構あたふたしたことと存じます。ここでは内容には触れるスペースが残念ながらありませんが、メイルのタイトルだけでもその雰囲気が伝わってきます。(Re:はご返事メイルの略です。また、[jimu:****]と言うのの右がタイトルです。)
[jimu:945] 教えてください。O-157対策
各地の対策内容の開示の呼びかけ。
[jimu:951] Re: 教えてください。O-157対策
[jimu:957] O-157対策
様々のアドバイスへの納得メイル。
[jimu:962] 情報感謝 [jimu:963] 続報
[jimu:972] 小学校の保護者集会がありました
堺市小学校保護者会出席の記。
住民達の苛立ちが伝わってくるレポート。
[jimu:976] もうすぐ9月
[jimu:1000] Re: 小学校の保護者集会
[jimu:1008] ○○市では・・・
新学期冒頭に保護者向けに配った対応策など
[jimu:1019] 小学校の保護者集会がありました
[jimu:1032][1040] Re: 小学校の保護者集会
保護者会の反響が続々寄せられました。
[jimu:1042] そーなのか!
震災被害校の給食再開がらみのレポート。
[jimu:1051] 給食再開に思う。
共同調理場利用校の給食
[jimu:1055] 帰りがけに調理員さんと話した2.5 ちょっと固い話題の「事務長制」
全事研香川大会(8月7〜9日高松市開催)の話題のメインはなんといっても「ブロック制化による事務長制度への展望」の提起が全事研よりなされたことです。このことについては、MLでも活発な議論が行われました。
提起はまだ議論の緒についてばかりですから、ここで多く触れるのことは割愛いたしますが、MLメンバーの当初の反応の概略は10月号に掲載したとおりで、その後の議論ではどちらかというと否定的論調が多かったと思います。
いずれにせよ、こうした全国レベルの議論がリアルタイムに出来ることはMLの特質の一つとして紹介できると思います。2.6 クラブ活動やっていますか?
事務長制の議論と交代するように出てきたのが、クラブ活動の事務職員の参加の是非をめぐる話題です。ここでも様々な議論が交わされましたが、管理人としてはやや長文ながら,次の発言の引用をもって,MLでの雰囲気を読者諸姉諸兄に伝えたいと思います。
『学校事務の何たるかも知らず採用になった当時、周囲は教員ばかりで、しかも同年代の若い教員も多く、教員たちが生き生きと子供のことを話すのがとても新鮮で羨ましかった。若いということ、そして幾分かスポーツが出来るということで、低学年のプール指導(の補助)や学生時代に少しかじったバレーボールクラブの指導(何とこれは週1時間の授業時間!一人顧問だったことも)まで、喜んでやっていました。机に座って事務をとるより、運動場で子供たちと遊んでいた方がどれほど楽しかったことか。また、小体連のバレーボールを指導していました。教員の仕事の真似事はとても楽しかった。勢い、通信教育で小学校の教員免許をとり、本当の教員になろうと思った位です。
その頃、地区の事務研究会に嫌々参加しても、先輩の事務職員は魅力的に仕事をしているとは思えませんでした。研究テーマとして「学校でどんなゴム印を作っているか調べよう」などと言っているのには、新人ながら生意気にも、何とくだらないことを集まってまで話し合うのだろう思ったものです。
今から思えば、本来の仕事も理解せず、自分自身で学校事務を軽視していたのだと思います。学校生活は実に楽しく、教員と同一感を持つことで満足していた。教員たちにとっては、そんな事務職員はとても便利だったと思う。教員が出張に出るとなると、1年生の給食指導まで頼まれていたのだから。その分、新米の事務職員には事務のプロとしての期待もなかったと思う。
私はこの時代を反省もこめて、とても懐かしく思い出します。私がここから脱したのは、プロ意識をもった魅力ある事務職員と出会い、学校事務にかける熱意と職業人としての考え方を知ったからだと思います。学校事務というものが、決して軽視されるものではなく、自分の職務がきちんと自信をもってできてこそ、自分の位置が確立される、本務外のサービスで重宝がられても、それは個人的なもので、事務職員の職務の確立にはつながらない、と思うようになりました。』2.7 しかし落とし穴が・・・・
まだまだ触れたい話題がありますが、MLの内容等の中間報告は1月号辺りで行う予定になっておりひとまず終えて、最後にコンピュータ社会の脆弱性に触れておきたいと思います。
「招請状」と銘打ちましたが、しかしながら私たちはまたコンピュータ社会が成長期にあるための問題点をも同時に経験していることを、かくしておくわけにはいきません。 電子メイルの到着は殆ど気分次第の状態です。
MLのホストは米国西海岸にあるのですが、この日米間を往復して返ってくるメイルが到着するのは1分以内のこともありますし、1〜2日かかってしまうこともたまにあります。
またしばしばメイルが正常に配達されない現象が起きています。ちょうど、米国での重要な電子メイル経路のポイントの機器の入れ替えと、ML自体のシステムの入れ替えとがぶつかり、半日以上通信が出来ないといったことも経験しました。殆ど打てば響くように返ってくるのを常態にしているため、こうした場合のもどかしさはたとえようがありません。
この事は脆弱性の経験であるとともに、電子メイルにおいては、到着の確証が欲しい場合には必ず返事を下さいと付加しなければならず、また受けた方も速やかにそれに応じるべきとする電子メイル社会の約束(これをネチケットと呼ぶ)の良い学習の場ともなりました。
3.読者から執筆者へ、執筆者から編集者へ
読者の皆さん、貴方の組合員証の住所欄には住所が予め印字されていますか?
公立学校共済組合の検認の時期が近づいています。実は、4月から基本年金部分の本人確認のために、組合員の住所を予め登録しておく必要が新たに生じ,検認を控えこの事も話題になりました。
東京や大阪では従来入っていなかったのですが、昨今のデータにはそれが搭載されています。コンピュータの結合はかなり制限されているはずですから、そのデータの元はどこなのかは不思議といえば不思議です。こうした不思議さを感じたメンバーが、他のメンバーにどうなってる?と聞けば、たちまち「そんなの前から入ってっているよ!」とか「今度入力するみたい!」という返事が返ってきます。
もうこうなれば、貴方は「執筆者」です。そしてそうした発言を一覧にすれば、気分は「編集者」です!
この不思議な魅力に満ちた世界の扉をどうか開いてみて下さい。それは決してパンドラの箱ではないことをお約束します。連絡先等は過去の連載を参照するか、方南小学校(03-3322-7661)または電子メイルを下さい。(honkawa@mxd.meshnet.or.jp)
バックナンバーメニューページに戻る