96年1月号

  「新情報時代と学校事務」(その8)

サイバー事務職員会は何を夢想する?

                 元全事研電算化検討委員会(今回担当:本川則裕)


 あけましておめでとうございます。  新年号にあたり、昨年の6月より始まったこの連載をお読みいただいたことに、改めて感謝申し上げるとともに、本年も引き続きご教示のほどよろしくお願い申しあげる次第です。
 さてこの連載を担っている者たちの昨年は、この連載の決定、ML及びHPの創設、連載の開始、そして香川アクション・・・とあわただしく過ぎ去っていった年でありました。おかげさまで連載も折り返し点をクリアし、既に後半に入っています。
 そこで今回は、メーリングリスト(ML)とホームページ(HP)の管理担当の本川(電子メイルアドレス:honkawa@mxd.meshnet.or.jp)が表題をテーマとし、半年間を振り返りながら、ML並びにHPの中間報告(11月14日現在)をさせていただきます。
 なお、以下で私と表記しました場合は本川を、私たちと表記しました場合には、この連載を担っています下記に示す委託研究を担ったメンバー(96年6月号参照)を指します。またMLメンバーという場合は、現在参加している私たちを含むML参加者全員を指します。


1.おさらい

 私たちは文部省委託研究で理振台帳のコンピュータ化をするために全事研によって集められた者たちです。その最後の集まりの席上でかような連載をする事を決定したのです。更に、読者とインタラクティブな関係を構築したいという思いから、MLの開始とHPを持つことにしました。念のために申し上げますが、必ずしも私たちは全事研加入者ではありません。
 なお、MLはパソコン通信などの電子メイルを使ったシステムで、誰かが特定の場所にメイルを送ればそこからメンバー全員に自動的に配信される小グループ用の文通システムとも言うべきものです。(過去の連載参照)
 それからこのMLとHPの運営ですが、あくまでも管理をしています私の個人運営という形を採用しています。この説明をお聞きになられたあなたは、たぶん「奇異」にお感じになられたことと思います。
 しかし、世に存在するMLの多くはこのMLと同様に個人がボランティア的に運営している場合が殆どです。MLの世界ではむしろ普通のことなのだとご理解いただきたいと思います。


2.電子メディア社会の有効性の過信

 学事出版の出版物に、「教師のためのパソコン通信入門」という本があります。そのコピーには・・・『全国の教師とリアルタイムで交流できるパソコン通信の威力。通信体験者がその魅力と効用を語る。』とあります。何もこれは教師だけのものではありません。私ども事務職員にも当てはまります。あの、学事出版がそう言うのです。学事出版が嘘をつくはずはないじゃないですか!
 そういう思いがあったのです。メンバーの一人などは、そんなことしたら沢山の人であふれて収拾がつかなくなりはしないかと心配したほどで、私たちは意気揚々とこの連載計画を船出させたのです。しかしながら、現実はそううまくいくものではありませんでした。
 第1の誤算は、電子会議システムの運用です。このシステムは3月から試験的ながら稼働していたわけですが、本格的なデビューの6月までの間に電子会議を行う事にしていたのです。ところがです。個人の性格というのでしょうか、実際に対面する会議においては発言をする人々も、なぜか電子会議になると黙ってしまうのです。この原因はまもなくやや分かるようになりました。それは電子メイルだと「きちんとした文章で送る」からなのです。雑談的な部分がほとんどなく、思いつきのような発言が出来にくいという問題点が浮かび上がってきました。
 第二の誤算は、参加者の人数です。MLメンバー10名で開始したのですが、5月14日現在で21名、全事研大会の直前で約30名という具合で、必ずしも爆発的な人数にはなっていません。MLの適正規模はシステム的なかねあいから50名前後だとどこかで読んだ記憶があります。その程度でないと、話題がうまく回っていかないという理由だったと思います。私たちも当然そのくらいにしようという気持ちと、当然あの「学校事務」に載せるのだからそのくらい集まるさ!という奢りがあったことも確かです。
 第3の誤算は、「本音で語る」ことの難しさです。当初から私たちはMLの栞で、発言は許可なくこの連載やHPに掲載する旨のお知らせをしていました。しかしながら、問題の種類によっては法規すれすれの議論や、慣習で行われているものや、詳細な説明を付加しないと直ちには曲解を生みそうな話、などが発言過程で生まれてきたのです。
 第1の問題点をクリアするために必要なのは、サロン的な雰囲気と様々な話題の提供です。つまり固い話題ばかりに陥るのを避けて、適宜軽い話題も盛り込むようにしました。  題して「給料日はいつ作戦」。給料日はいつですか?と聞かれて答えられない事務職員はいないはずです。読者の皆さまも気になるでしょうから、その結果を書いておくと、調査の時点で圧倒的に多かったのは21日です。一番早いのは東京の15日。でもって更に面白いのは、その日が休日や土日にあった場合の措置。例えば1月15日が日曜日であった場合。14日から3連休となる訳です。この場合東京では、13日支給となります。このように通常は基本的には前倒しになるのですが、必ずしも前倒しにならないという例。神戸の通常の支給日は16日ですが、この場合は17日になる仕掛け。
 ここで問題です。「1995年1月17日は何曜日?」・・・そう火曜日です。つまり「あの日」は実は給料支給日だったのです。ご存じでした?
 なお、電子メイルによる座談会はこの連載の最後(5月号)でも予定しています。果たして成功するのか・・・
 第2の問題への対策を、私たちは「ML振興策」という呼び方をしていました。ML振興策は抜本的な解決を見つけられぬまま、連載ごとに宣伝を末尾に載せるという公器を徒に使うだけのもので、劇的改善を図るには至りませんでした。そこで抜本的解決方法として考えられたのが「香川アクション」プログラムの一つとして、全事研香川大会の研究集録の袋に宣伝ビラを加えてもらうことでした。香川アクションの詳細はこの連載の10月号を、そしてその後日談は別項を設けて記載します。
 結果を言えば、宣伝ビラの効果はそう大きくはなく、毎回の連載をご覧いただいた方が、その中に過去を当たるようにとの記載があるのを見て参加するという方が、その後も多かったように思います。
 第3の問題について。MLの発言の一人歩きは何としても避けなければなりません。そこで措置としては、「これはMLのみ」と宣言してもらうようにしました。また逆にHPには発言を直接的に掲載するのは6月下旬分から特別な場合を除き停止しています。致し方のないことと評価しています。
 それと、このMLが私などは生活の中の一部になっていて、この中では真実の吐露が正直にできるような状態になっていることも、ある意味では成功という言い方もできるかと思います。


3.実体(メンバー数と発言回数)

 MLのメンバーは現在55名を数えます。
 発足時は10名、5月中旬で約15名、7月末で約30名で、9月末で48名でした。9月までは順調な伸びを示していましたが、その後はややカーブは鈍化してきています。この際あなたも参加していただけるとありがたいです。
 メンバーの都道府県分布ですが北海道から九州までの21都道府県にわたっております。校種別の内訳は、小学校29名、中学校15名、高等学校4名のほか養護学校、大学、その他となっています。
 発言数は4月1日から統計的処理を開始しています。その日から数えこの執筆時点の11月14日現在で約1800件を数えます。この間の延べ日数は約230日ですから1日平均で7〜8件の書き込みがあることになります。もちろん、日によって書き込みの数は上下があります。私はこのML以外にもいくつかのMLに入っていますが、その経験から言って、参加者数からすると書き込み数はかなり多いと言えます。これは逆に言えば、一部のアクティブなメンバーによって支えられているという事実を描き出している姿をも現しています。


4.実体(展開されている話題)

 これまでの報告でMLでも、展開された話題をいくつか取り上げてきました。そこでここでは重複を避け、最近のトピックスをあげておきたいと思います。
 下のリストを見ておわかりのように、この学校事務誌をにぎわしている話題の多くはまたMLの話題でもあります。
(1)義務制校の国庫負担問題
(2)人事異動 (3)通信技術とマナー (4)情報公開
(5)産休はいつから? (6)通信そして学事MLの未来
(7)幕張 PC EXPO (8)財務電算 (9)O−157関連
(10)バーチャル原稿料  (11) 12月・1月原稿に寄せて
(12) 給料支給事務事情(年調含む)  (13) 予算編成
 上の話題のうち(5)がわかりにくいと思うので取り上げてみましょう。
 これは、『A校のBさんは現在休職中です。休職明けは1月10日の予定なのですが、休職中に懐妊しその出産予定日が1月30日となっています。さて、Bさんの産休入りはいつになるのでしょうか?』という質問に端を発しています。
 ML上では、休職明けの1月10日という意見と、その6週間前で休職を停止してその時点から産休入りさせるとする意見との2つが出されました。
 さてあなたのご意見はいかがでしょうか? ここはひとつ貴方もMLに入って、このような身近な議論に加わりませんか。そして他の自治体の職員と意見交換をしてみませんか。


5.実体(HPで実現したこと

 HPというのは、インターネットの画面としてテレビなどで普段私たちが見聞きすることの多い、「WWW(ワールドワイドウエブ)」の画面のことです。
 発足は3月9日です。それまでは個人のホームページに使っていたのを改変して使っています。現在掲載されている第1階層のメニューをあげると、以下のようになります。
 (1)ML参加の栞
    参加に当たっての留意点等が記載されています。ご一読ください。
 (2)ML参加者リスト
 (3)ML参加申込書
    HPからも申し込みいただけます。
 (4)ML発言抜粋
 (5)「新情報時代と学校事務」速報版
    この連載を約1ヶ月早く読めます。今は2月号が既に読めるはずです。
 (6)全事研香川大会レポート
    大会速報よりも早かった速報版!
 (7)緊急編集! O−157対策など
 (8)理振台帳FD化研究
 (9)資料閲覧
    大会要項などのデータがある
 (10)We are...
    学校事務職員が作っているHPへのリンク集です。


6.実体(香川アクション異聞)

 10月号掲載の香川アクション特集で披露した成果は一定の意味を持ったものと考えています。しかしその一方で、一部の方々にある種の相当のショックを与えてしまったようです。
 ショックとは「電子媒体の驚異的スピード」という側面で与えたショックです。
 学校事務誌の10月号の締め切りは8月10日前後です。香川アクション特集が発表出来たのはその日までに入稿したと言うことです(正確にはFD渡しなので15日でOK)。学校事務誌は9月15日過ぎに発行です。このようなスピードで大会報告が全国的に流布されるのは驚異の世界だった人々がいたようです。
 12月号の大会特集号の入稿日は10月10日ですから、10月号を見た上でそれの対応をはかるとなると僅か残20日あまりであり、遠隔地にいる人々のまとめ作業と言うことからすると、予定もしていなかった日程を組まねばならず、ハードな対応が迫られてしまいます。
 報告は辛口でしたから、対応するとすれば、「相当のショック状態」を結果的には味わわせてしまったと想像しています。
 これは従って反面教師の事案であり、電子媒体の畏怖をも教訓として学び取ることができたと思います。出来ればこうした理解を、私たちが不本意にも与えてしまった方々もしていただけると幸いに存じます。


7.実体(電子社会の儀礼)

 私個人の経験でも、電子メイルのやりとりでかなりいやな経験や、驚かされる経験、そしていつの間にかしてもいない行動をネット上で非難され悪者になっていた経験を持っています。ハッカー対策などは素人にとっては出来うるわけもなく、またそうした者に狙われるほどの価値があるわけでもないので、議論にはなりませんでしたが、会話の中に生じる誤解や錯誤によるつまらない論争の防止はどうしても必要という点で一致していました。
 その基本はネチケットを守ると言うことです。ネチケットというのは、ネット(つまりは通信網)上のエチケットと言った意味のもので、多くの先人達の努力によって構成されている知恵の固まりです。netiquetteと表記し、ちなみにこれは和製英語ではありません。
 この対応は直接の呼びかけは嫌みになりますから、次の2つを通じて行いました。第1は、連載の最初にそのことに言及すること、そして第2にはHPにネチケットを参照できるジャンプページを作ることでした。
 現在の所、一握りの例外を除いて杞憂であったと言って良いと思います。その点から言って、学校の事務職員の常識度は逆に高いことが証明されたとも言えます。


8.実体(バーチャル原稿料)

 香川アクションでのメンバーのレポート協力など、いわば参加者とのインタラクティブ化が実現されればされるほど、この連載の原稿料の扱いが微妙なものになってきました。
 ここで、原稿料がどのように支払われているかを説明しておく必要があります(情報公開の時代ですから)。各連載はそれぞれ署名入りでありますが、私たちは集団で連載をお受けしたという意見の一致を見ていましたので、原稿料の支払いは個人ではなくメンバーの中に設けた会計係の元に入金されています。それは、今後とも遠隔の地にいる私たちの活動を保証していくための基金という意味合いもあります。
 そうしたシステムをとってはいましたが、懸案を解決すべく、一定程度の還元をしていかなければならぬという見解の元、MLメンバーの意見も聞きつつ、引用させていただいた方にほんの一部を、そしてそのほんの一部を今後もしMLの運営を続ける場合の暫定的資金にするようにしました。


9.ML及びHPの将来

 この連載を終了した時点の今年4月が第1の、そして全事研大阪大会終了後の9月が第2の終了の時点と考えています。勿論、直ちに止めるのではなく、MLにおいてはしばらくは参照は出来るようにしておきますが機能としては停止し、HPにおいては新たな更新作業は行わないという事にしたいと考えています。その意志を「ML参加の栞」にも表現しています。
 しかし、既に私個人の趣味的運営という表現ではすまされない、参加者全体のものになりつつあることを実感し、このままつぶすことが出来るのかと懐疑的になっているのが正直な現在の気持ちです。
 将来の模索はこの連載が終了した時点から始まるもので、ここで具体化は出来ませんが、私個人としてはサイバー事務職員会のような形式で、代表者も出来れば選挙で選出するような形式に出来たらと夢想しています。
 この夢想が初夢に終わるのか、発展的なバーチャル事務職員会となるのか、はたまた別の展開を遂げるのか、それは「これを読んでいるあなたの手にゆだねられている」と再び参加を呼びかけて筆を置きたいと思います。


◎インターネットホームページURL(住所)

 http://www.a-web.co.jp/~jun/


◎MLへの参加方法

 これまでの連載をご覧いただくか、あるいは本川の勤務先(電話:03-3322-7661)までお電話をください。


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