5月18日(月) 入院第6日目。気分のすぐれない1日。

 昨日はおとといほどではなかったが、熟睡が出来なかったので寝起きは悪い。則に電話しなければならないので時間を気にしながらベッドの中でごろごろしていた。町内会の集金があるとのことで(今年、うちが世話役になっている)、朝そのチラシを配りに行くのだそうだ。申し訳ない。私がいれば何と言うことなく集めて済んでしまうのに。

 ある程度からだが動くようになったせいか、学校のことばかり思っている。運動会は無事にすんだろう。今週は遠足がある。そしていよいよ来週は移動教室の最後のつめをして再来週は出発だ。子供たちはうまくグループ行動が出来るのだろうか。いい思い出を作ってきてくれればいいのだけれど。

 8時ちょっと前にまたA医師が来る。ホントにまめに来る先生だ。でもこうして来てくれるだけで、患者はどれほど安堵感を持つことが出来ることか。これが精神的なカウンセリングにもなっている。今日は開口一番「あれ?旦那はいないの?」だった。「働いてもらわないと食べていけませんから。」こんな軽口も交わせるようになった。

 朝食を終えたと思ったら直ぐに昼食。食べて寝るというのは理想の生活の筈だったが、今や苦痛以外何物でもない。体重を量ってきたら増えてた!朝から頭がぼんやりして珍しく朝寝をしたが、午後の検温では36.9度もあった。風などひかぬよう気をつけなければ。

 結局午後は体が思うように動かなくてうつらうつら状態で寝たり起きたりと殆どベッドの上で過ごした。それでも、則との約束で院内散歩で体を動かさねばということだけはきちんとやった。でも、体温の調整がうまくできないのか、急に体が暑くなったり寒くなったりでイライラの状態がずっと続いた。これも副作用の一つ。

 でも、不思議なもので、夕方、則が来るとなんかすっきりした。食事も殆ど食べられた。が、やはりまだ全部というわけにはいかない。胃のむかつきがどうもすっきりしない。抗ガン剤というものの副作用なのだろう。これがやる度にひどくなっていくらしい。参るなあ。

 次の予定は22日とのこと。結局それまでは退院できないのか。

 今日、則に学校の方へ連絡してもらった。校長は、運動会が無事に終了したこと、移動教室は教頭が責任を持ってクラスの子の世話をすることなどを話したそうだ。それと明日、保護者会があるということも。当然だよなあ。親としてはあと2ヶ月の学級運営の方針をはっきりと聞きたいだろうから。担任不在が2ヶ月も続くとしたら、私が親の立場でも我慢できないもの。最終的には教育委員会まで直訴・・・それでもダメな場合には議員を動かす・・・というようなことにならぬように祈るばかり。いずれにしても、今の子供にとって1番いいのは担任が誰かということがはっきりすることなのだ。いつでもすぐに面倒を見てくれる担任を子どもたちは必要としている。


則裕の記録

 今朝は6時に順さんから電話をもらう。理由は昨晩の状態を聞きたいからと、そろそろこちらの生活が困窮してきているので、何かと問題が起こる可能性があるからだ。勿論、思ったよりも数段順さんの状態がよいからにほかならないが。今朝の電話はしかし何と言うこと無しに終わったが、この連絡は定例化したい。

 職場に着くと、順さんの手術の様子を校長を始め何人か入院を知っている人達に聞かれた。思いのほか良好な状態の状態を説明して、朝の30分くらいを費やした。その前後して、金曜日殆ど職場にいなかったので、金曜日に起きたことの説明を受ける。まぁ大事件のようなものはなかった。実は金曜日は給料日で、今ひとつ心配な状態だったのだ。

 次に順さんの職場の長に電話。手術の一応の成功と、現状を報告。校長にはご迷惑とご心配をお掛けしたお詫びを型通り言う。そうするしかない。校長からは、いくつか話があった。第一は、安心して静養に努めてもらいたいこと。第二は、運動会は無事に、特に彼女の学年の彼女の担当部分も素晴らしい出来で終わったとの報告。第三は、明日保護者会が開かれるとの話。これはたぶん、学級の保護者が説明をと、求めたからだろうと想像。第四は、教頭が移動教室には担任代行として行くことになったという報告。元々は校長が行く予定だったっとのこと。まぁざっとこんな話を伺った。断って置くが、私の方から求めた話ではない。とても求める状態ではない。私の方からは、これに対して、保護者並びに教頭をはじめとする教職員にご迷惑をかけているお詫びをお願いしたいと依頼をする。まぁ、これで配偶者の役を務めたつもり。

 ところで保護者会についての順さんのコメントだが、時間講師・嘱託・教頭・空き時間の先生という中学校もどきの下手をすると毎時間来る先生が違うという体制は、いったい誰の意志でそうなったのか不透明な点が更に問題なのだと思う。大人社会はどこか子ども社会を無視した構造にありはしないか。学校の管理職の姿勢なのか、区の教育委員会の姿勢なのか、都の教育委員会の姿勢なのか、或いは文部省の方針なのか(ちょっと文部省まで行くのはオー場だけれども)。何れにせよ、もう少し現場の生の姿に立脚した思考が必要ではないのだろうか。指導要録の担任欄にいったい誰のゴム印が押されるのか、はなはだ興味のあるところだ。

 今日予定されていた物品の搬入が終わったと思ったら、運営委員会。司会だという。まぁどうと言うこともなかったが、調整など非常に議題が多く、1時間を軽くオーバー。昼はいつものように、1時近くになる。

 勤務時間が終わった途端職場を飛び出そうとしたら、同僚にもう帰るのかと目を丸くされる。だらだらと慢性的に仕事が重なっている現状からすればそれも当たり前。しかし、いくつか用事もしなければならないので、都庁まで自転車を飛ばす。

 病院のあるO駅で降りて、まず銀行へ。入院費を払うために、銀行から郵便局の口座に移動しておく必要があるからだ。銀行はスムーズに行ったが、郵便局のCDが修理中で、大金を持って病院へ向かうハメになる。

 病院へ着いたら、早速順さんの運動に付き合う。体を動かしていないとまずいからだ。その後夕食。例によって、御飯がまずい。私が食べても、そう思う。蒸しが足りないのだ。それ以外のおかず類は全て食べる。彼女にしてみれば、結構な量。頑張っている。

 その後また少し運動して、私の職場の人がくれた団子を1つ食べる。残りは、食べるかどうかと言ったが、持ち帰れとは言わなかったので、たぶん1〜2本は食べるつもりだろう。(どもう翌日聞いたら食べなかったらしい。)しばらくこちらも休憩して、病院を出る。7時40分の電車に乗って、自宅最寄り駅には8時43分に着く。今までの最短記録。

 帰ると、早速赤十字の募金の何軒分かがポストに投函(そう依頼した)されていた。