夕べは殆ど眠れなかった。MDで「心静まる音楽」を聴いていたが、あまり効果はなくすぐに目が覚めてしまった。則に電話したときもそれが影響して「何だ？その声は。」と言われるほどひどい寝不足の声になってしまった。外はいい天気。気温も上がるそうだ。今日は遠足。ちょっと暑すぎるな。しかもバーベキューときてる。みんなちゃんと出来るだろうか。
６時ちょっとすぐに看護婦が来て採血をした。すぐに血管を見つけて一発でOK。ホントにここの看護婦は注射がうまい。
朝食はいつもより時間をかけてゆっくりと食べた。則が言っていたのはつまりこういうことなのだろう。私の感じでも、どうも抗ガン剤というのは胃腸の働きを弱めるみたいだ。ならば、胃の負担を少しでも軽くしてあげようと、牛ではないけれど何度も反芻してかみ砕いた。最後はどろどろの状態にして流し込んだ。さて、このやり方がどの程度効果があるかは疑問だが、今のところすがれる神には全てすがりたいという心境だ。
夕べ、布団の中で昨日のMさんからの絵手紙に返事を考えていると短歌が浮かんだ。それにしようかと思いながら、ノートに書き留めた。
「味気なき 病室の壁に 大輪の 花を咲かせし 友の絵手紙」
「すさみゆく 病みし心に ひとすじの 光届けし 友の絵手紙」
「一輪の 花一輪の 温かさ 凍てし心に 浸みて溶かさん」
お昼ご飯を食べ終わった。なのにまだ点滴が始まらない。午前中は無為に過ごしてしまった。と言っても、やることも特にないのだけれど。ま、おかげで本を１冊読み終わったが。少しでも早く終わっていれば気分の回復も早いと思っていたのに、結局これではまた、則にいろいろと世話になることになる。
結局午後の１時半から開始。３時ちょい前に終わった。小瓶で４本。思ったよりあっさり終わってしまった。隣室の人も同時に行っている。おもしろいもので、さっきまで左手しか使っていなかったのにその手に点滴をしているためその後はもっぱら右手ばかり使っている。そこでもう右手が普通に使えることに気がついた。今のところ気分に全くの変化無く、おやつを食べようかどうしようかと迷っている。が、この際自粛した方がいいかな。しかし、せっかくの則の心遣いでもあるし・・・。点滴を受けながらまた１首。
「"毒をもて 毒を征する" 点滴の １滴１滴が 命の泉たれ」
夕方いつもの時刻に則が来た。今日もたくさんの食料を買い込んできた。毎夕食をスーパーの弁当で申し訳ない。ついでにと私のためにもおかずを買ってくるので、私は病院食の他にも結構食べている。そこで恐れをなして体重計に乗ったら、何と３ｋｇも増えている。早い回復のためには沢山食べることが必要と言われているし、このまま太り続けるのも驚異！
なのに、東京の学会へ出席していたA医師が律儀にも９時過ぎに病室を訪れたとき、「やつれた？」ですと。病院疲れです。それにしても、ホントによく顔を出す先生だ。いつものように急いで挨拶だけだったが。
そうそう、退院のめどについて看護婦に聞いてみたが、２度の抗ガン剤をやってもその後の白血球の数によってその日取りが決まるのだそうだ。だから一概に何日後とは答えられませんと言うことだった。
「そろそろ帰ることを考えようよ。」と言う言葉と「もっとゆっくりして行きなさいよ。」と言う言葉、どう考えたらいいのか。 なんでか下痢した。
則裕の記録
昨日とはうって変わって、今日は忙しかった。特に午前中。例によって、指示ばっかり、そして面倒な案件ばかりの処理。まぁ定時に飛び出せたのだから良しとしよう。そう言えば、今日は友人のＩとＮから同じ様な、職場における相談の受けた。忙しいからと言って、こうした相談には丁寧に応じなければと心をいましてめる。
そうそう、昼前に順さんから電話が。どういうことなのだろうか、午前中に抗癌剤投与はどうやら行われないらしいとのこと。ただし白血球の検査は予定通り、午前中の早い時期に行われたらしい。
ともかく、予定通りならば、食欲がないだろうからと、Ｏ駅を降りて西友で食べやすいものを買う。冷や奴にと豆腐、さっぱりしてミネラルのあるものと水雲酢、そして好物のインゲンのゴマ和えと、元気ならばとチーズ入りささみカツ。勿論自分の弁当も。
ところが病室にはいると、横にはなっていたが、順さんは元気に起きあがった。今日やらなかったの？・・・１時半くらいから１時間半くらいやったよ。気持ち悪くないの？・・・今のところは。１日後くらいにそれはやってくるのだろうか？
ともかくも、けなげにもというべきか、努力して順さんはよく食べる。今日もよく食べた。一安心。
それから、前回の投与の後に便秘がひどかったので、そのことを言うと、既にコーラックを前々日に飲んでおり、昨日中にすっきりさせたという。もっとも、彼女自身書いているように、効きすぎたのかどうか分からないが、現在は下痢気味とのこと。
昨日とほぼ同じ時刻に帰宅。今は洗濯をしている。
